みなさん、こんにちは。
今まで社会福祉法人会計基準では不明確だった論点の最終回4回目です。
(他の法人形態で適用等されている会計処理等についての社会福祉法人会計基準への適用に係るQ&A)
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について 21 退職給付について(1)期末要支給額による算定について」に記載されている「原則的な方法」とは何か。
A.退職給付会計基準に従った方法(以下、解説します)
まず、社長をイメージしましょう。よりリアルに感じるためです!
会社には退職金制度があって、退職金は大抵大きい額になるので、頭を悩ませています。
社員は、入社年次もバラバラ。だから、定年としても退職年次もバラバラ。途中で退職する人もいる。
そこで「決算時点で、会社が支払う退職金はいくらなんだろう?」を計算するのが退職給付会計です。
前提知識として、今の1万円は1年後の1万円ではないとお聞きになったことはありませんか?
単純に、今1万円を銀行に預けたら、1年後利息がついて、1万ちょっと円になるからです。
逆に、1年後の1万円は、今現在は、利息を割り引いて、9千数百円になるということです。
ここでもう一度、「決算時点で、会社が支払う退職金はいくらなんだろう?」を考えてみると、
まず、決算時点までで経過している年数で退職金を計算して、その後、上記のように利息(正確には割引率。国債利回りとか)で割り戻すんですね。
ここまでが原則的な方法です。ちょっとややこしい。
ただし、社員数が300人未満だと、簡便的な方法が認められています。
原則法の利息で割り引くをしなくてよい簡便法の位置付です。
ここまで説明した方法は、会社が独自の退職金制度を作っている場合で、社会福祉法人も同じです。
しかし、私も今まで200を超える社会福祉法人を見てきましたけれど、ほぼ無いですね。
たいてい、福祉医療機構や都道府県の退職共済制度が大半でした。
これらの処理も、また別回に取り扱いたいと思います。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
(Q&A掲載の答)
「原則的な方法」とは、社会福祉法人の職員への退職給付について引当金及び退職給付費用を計上する会計処理として、退職時に見込まれる退職給付総額のうち当期末までに発生していると認められる額を、一定の割引率と予想残存勤務年数に応じて割引計算することなどにより算定する方法をいう。
一般的に、退職給付の対象となる職員数が300人以上の場合には、「原則的な方法」に基づいて引当金及び退職給付費用を計上することになるが、退職給付の対象となる職員数が300人未満の場合や、職員数が300人以上であっても、年齢や勤務期間に偏りがあるなどにより数理計算結果に一定の高い水準の信頼性が得られない法人は、「原則的な方法」によらず期末要支給額により算定することになる。