社会福祉法人の消費税の会計処理-税抜か税込か-

今回は、前提の話から。

社会福祉法人では、消費税について税込方式を採用されている法人がほとんどだと思います。
税込方式が馴染むからですね。

馴染む理由として、
①資金収支計算書はお金の流れを示す。実際の支払額には消費税も含まれるので、税込方式での作成が簡単。
②そもそも、課税収入が1000万円以下で免税業者となる法人及び課税収入が5000万円以下で簡易課税制度を選択する法人が多い。

税込で問題ないのですが、一般の企業会計基準で改正があったため、次のQ&Aが公表されました。

Q2.収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号令和2年3月31日企業会計基準委員会)において、消費税等の会計処理につき「税抜方式」の適用が求められるが、社会福祉法人会計基準においては、消費税等の会計処理はどのようになるか。

収益認識に関する会計基準が公表され、現場にはかなりインパクトありましたよ!
業種によっては、計上の仕方が大きく変わり、従来の半分以下になってしまうところもあるでしょう。

この収益認識基準では、消費税の処理で税抜方式の適用を求めています。

では、企業会計基準の支流である社会福祉法人会計基準ではどうするか?

A.税込方式が前提。ただし、税抜方式も可能。

理由としては、冒頭申し上げた通り、社会福祉法人には税込方式が馴染むためです。
これに対して、税抜方式の方が、消費税の負担が見える化されるメリットがあります。
そういった点を考慮し、税抜方式も認められました。

年度途中で、把握しやすいですね(決算書上は、差額の100を「未払消費税等」として計上)

個人的にも、消費税課税事業者の一般事業会社のクライアントには、税抜処理をお勧めしています。

ただし、社会福祉法人の場合、今回は説明を割愛している課税売上割合が極めて少ないと想定されるため、もう一段階手間がかかります。
(見える化できていないのでは?という疑問わきますね)また別回に!

では、Q&A掲載の答えです。

社会福祉法人は、営利法人と異なり消費税等の負担者となることが多く、本来税込方式が適しているものと考えられるが、法人の事業内容によっては、課税売上割合が異なるため、法人の自主的な判断で税抜方式を採用することも可能とすることが実務上適していると考えられる。
よって、社会福祉法人会計基準では、消費税等の会計処理については税込方式を前提としつつ、法人が税抜方式を選択することも可能とする。

 

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