みなさん、こんにちは。
今まで社会福祉法人会計基準では不明確だった論点の解説3回目です。
(他の法人形態で適用等されている会計処理等についての社会福祉法人会計基準への適用に係るQ&A)
Q.社会福祉法人には、資産除去債務に関する会計基準(企業会計基準第18号平成20年3月31日企業会計基準委員会)は適用されるのか。
A.原則として適用されない。ただし、法人の自主的判断で適用可能。
資産除去債務とは、一言でいうと、法律で決まっている原状回復費用です。
例えば、賃貸建物の原状回復義務等があるケースがイメージしやすいでしょうか。
鉄鋼業や非鉄金属業などの素材産業,機械製造業,電気機器業等で,有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務を負っている業種において特に問題となります。
原子力発電所も勿論当てはまります。
この点、社会福祉法人では、事業に使う基本財産を原則として法人所有しなければならないので、上記の内容はあまり当てはまらないと考えられます。同様に、有害物質の保有も、ないでしょう。
ただし、中には、定期借地権契約で賃借した土地の上に建設した建物等を建設している法人もあるでしょう。
その場合、賃借した土地の上に建設した建物等を撤去する義務が該当します。
会計処理としては、解体や除去するときの費用を予め見積もって、期間按分します。
期間按分せず、撤去時の一括費用にすると、その期が大赤字になるかもしれません。
「(決算書の)見た目が悪くなる、、」などの法人の自主的判断で、資産除去債務の処理を採用し、費用を期間按分しても構わないとされています。
(Q&A掲載の答)
社会福祉法人は、事業の用に供する基本財産を原則法人所有しなければならないことから、契約に基づく建造物の解体等の原状回復義務の会計的影響は限定的であると言える。また、法令に基づく有害物質の除去債務については、社会福祉施設における保有は限定的であることなどから、会計的影響は限定的であると言える。
よって、社会福祉法人会計基準では、資産除去債務に関する会計基準が適用されないことを原則的な方法とする。
ただし、法人の中には、期間費用を平準化する等の観点から資産除去債務の計上が必要なケースも一定程度あると考えられることから、法人が自主的に適用することは可能とする。