先日、協会の研修で表題の内容を受講してきました。
知らなかったお話、知っていたつもりになっていたお話もあり、自分の復習も兼ねて内容をシェアします。
事例を挙げながらのお話がイメージ湧きやすかったので、できるだけ事例を用いますね。
(研修講師を担当くださった、弁護士塩路先生には厚く御礼申し上げます)
【H29年改正による具体的な役員等をめぐる厳格な新規定の導入について】
(事例)2021年「社会福祉法人D会 乗っ取り事件」
「自分たちの意に沿う役員に一新することで社会福祉法人の経営権を握ることを計画した事件」他の役員の票をお金で買収しようとした内容です。
→贈収賄事件として立件
※解説※
贈収賄というと、通常は公務員やそれに準ずる「みなし公務員」などが対象です。東京五輪・パラリンピックでも話題になり、ご記憶にある方も多いと思います。
社会福祉法人の理事、評議員等の役員に贈収賄罪が創設されています(社会福祉法156条)。理事、評議員、監事、会計監査人は「みなし公務員」の自覚をもつことが必要ですね。
この他にも、理事、評議員、監事、会計監査人等の損害賠償責任既定の創設(社会福祉法45条の20乃至22)や、特別背任罪の創設(社会福祉法155条→一般の会社法役員(取締役、監査役等)と同じ厳格な刑罰規律が導入されています。
塩路先生曰く、「社会福法人は、株式会社のような持分はない(=株主のようなオーナーはいない)が、会社法と同等の責任が求められるようになっている。」。主に税金や社会保険で運営し、パブリックに限りなく近い組織体であるためでしょう。
(対応)
あまりに厳しく重い責任ばかりだと、社会福祉法人の役員に有能な人材が集まらない恐れがあります。
対応策として、以下を挙げました。
①定款に「役員責任の一部免除」等に関する規程を入れておく。
②責任限定契約の導入
③役員賠償責任保険の加入
続きます。